一緒に買い出しに出掛けて、普段出来ないところまで掃除をし、後はのんびりと好きなことをして過ごす。最近の休日の過ごし方というのは、大体いつもそんな感じだった。それに対して不満を感じたことは特にない。けれど、今現在俺はとても不満だった。
日曜の昼下がり、予定は全て済んだからフリータイムの真っ最中。ルートヴィッヒは珍しく行儀悪く、ソファに寝転がって本を読んでいる。俺はその向かいでやることもなくぼーっとしていた。かれこれ三時間になるだろうか。借りてきた話題の映画DVDはもう見てしまったし──今返しに行く気はない──家に揃えてあるオペラやらのオーディオも暫くは見る気がしない。つまり端的に言えば、俺にはやることがなかった。
本は読むには読むのだが、恥ずかしながらそう集中力が続く方じゃない。くしゃみをして飽きてしまうことがあるくらいだ。文学よりも映画とか音楽とかの方が、どちらかと言えば俺は性に合うのだ。
何度も視線を向けてじっと見つめているのだが、ルートヴィッヒはまるで気付かない。目はずーっと本の紙面に釘付けだ。体を動かすのなんかページを捲る時くらい。ソファで本を読む人、とかいうタイトルの銅像みたいだ。本当、ほとんど動かねぇのな。肩凝んないのか、肩。俺なら十分で寝れるぞ、そんな小難しい本読んだら。
じー。いくら気持ちを込めて見つめても、ルートヴィッヒの反応はない。常なら俺の視線にすぐ気付く癖に。
というか、常なら大概立場が逆だった。好き勝手に過ごす俺をルートヴィッヒが視界の端に入れながら、掃除をしたり何たりするのだから。こいつが俺を完全に放っておくというのは、実に稀だ。は、ははははは、一人楽し過ぎるぜー。口に出して言ってみるが、やっぱりルートヴィッヒは反応しない。
なぁ、お兄様何かしたっけ。そりゃちょっと掃除サボったり、してたけど。お前そんな怒ってなかっただろ。別に普通だった、だろ?
クソ、なのに何で俺様はこんなに無視されてんだ。構え、今すぐ構え。一人が楽しくない訳じゃねぇぞ。俺は今お前に構われたい気分なんだ、ルートヴィッヒ。
Sieh mich an!冒頭より
脚に絡むスラックスと下着をずり落としながら、俺はソファに乗り上げる。跨ぐのは勿論、ルートヴィッヒの腰辺り。ムキムキの腹に片手をついて、もう片方でアヌスを軽く広げる。先端を少しだけ含んだペニスは、やっぱり、大きかった。
「うぁ、あ、あっ、あ、」
少しずつ埋める度に声が勝手に押し出されていく。熱くて硬いのに腸壁を押し広げられる感覚に、俺は身を悶えさせた。態度はこんなに冷たくてもペニスはこんなに熱いんだ、なんて、考えるともう堪らない。本当はここまでするつもりなかったけど、こうなったらとことんやってやる。これだけしても何の反応も寄越さない──ペニスはガンガンに反応してるけど──ルートヴィッヒが悪い。別に俺がヤりたくてしょうがなくなったとか、そんなんじゃないぞ。断じて、違う。
奥までは迎え入れないまま、浅い位置でゆっくりと腰を振る。そうすると亀頭に前立腺が、ごりごりって、され、て。あ、あ、気持ち、い。ゆっくり自分のペースで感じられる機会は極めて少ない。今のうちにたっぷり堪能しといてやる。
腹の上だとほんの少しだけ、ルートヴィッヒの顔が窺えた。如何にも本に集中してますって顔、だけどさっきからページが全然進んでいない。俺は気をよくしてケセセ、と笑いを漏らす。ルートヴィッヒは不愉快げに眉間に皺を寄せた。にも拘らず何も言ってこない。どこまで無視を決め込む気だよ馬鹿。何とか言えっつーの。まさか俺がここまでするとは思ってなくて、呆れてるんじゃねぇだろうな。
Sieh mich an!エロシーン一部